前弾き(前奏) - 前唄 - 手事 - 後唄の、地歌「手事もの」の形式をとっている。
前弾きは雅楽的で、箏は楽箏風な手法、胡弓は笙風な和音を奏でる。
前唄は『古今和歌集』賀の部より採った和歌「しほの山さしでの磯にすむ千鳥 君が御代をば八千代とぞ鳴く」が歌詞として節付けされている。「君が御代をば…」がもう一度反復され、前弾きの冒頭部分が現れて一段落すると手事に移る。
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器楽部分である手事は二つの部分に分かれ、前半は最初ゆったりしており、そのあと次第に早くなる。「序」とか「波の部」と呼ばれ、箏で波が寄せ返す様、胡弓が和音で松風の音を描写している。また楽箏と笙の合奏のようにも聴こえる。後半は「千鳥の部」と呼ばれることもあり、まず箏、胡弓共に千鳥の鳴き声の暗示で始まり、次第にテンポを速くし、描写から離れて純音楽的展開を見せ、盛り上がる。このあたりは曲全体の山場で、箏と胡弓のからみ合い、掛け合いが素晴らしい。やがてゆっくりになり、箏が風を暗示する手法「摺り爪」を奏して一段落し、後唄に続く。摺り爪は後唄に出てくる「須磨」に関連して、源氏物語須磨の巻の嵐を前もって暗示し、雰囲気作りをするためのものと思われる。
後唄は金葉和歌集に載せられた源兼昌の和歌「淡路島 通ふ千鳥の鳴く声に 幾夜寝覚めぬ須磨の関守」に節付けしたもので、まず「淡路島通う千鳥の」で、これまでの地歌箏曲にはない独特な旋律が、転調して高い音域で歌われる。